ポリープとは
ポリープは形態的な名称で、粘膜から盛り上がったものはすべてポリープと呼びます。
よって、ポリープの中には腫瘍から腫瘍でないもの(炎症など)から様々です。良性の癌化の恐れのないポリープから、癌そのものまで幅広く含んでいます。
(ポリープの狭義の意味は上皮性、良性、隆起性病変のことをいいます。)
胃ポリープの種類
@胃底腺ポリープ
●女性ホルモンやガストリン(消化管ホルモンの一種)の関与も指摘されていますが、はっきりした原因は不明です。
●がん化の心配はありません。
●よって、ポリープそのものに対しての治療は必要ありません。
A過形成性ポリープ
★びらんによって起こる粘膜の欠損に対する上皮の代償性過形成に起因すると考えられています。
★ヘリコバクター・ピロリの感染が多いことから、胃粘膜の萎縮と腸上皮化生粘膜が本ポリープの好発する胃粘膜環境であるとも考えられています。
★多くの場合は治療は必要ではありません。自然に消失するものやヘリコバクター・ピロリの除菌によって消失する例が報告されています。
★切除の対象になる例としては、がんの合併が疑われるもの、出血性のもの、十二指腸へ落ちこむものなどがあげられます。
B腺腫性ポリープ
◆背景粘膜に強い萎縮がみられることから腸上皮化生粘膜(胃の粘膜が腸の粘膜様に性質が変化すること)から発生すると考えられていますが、詳細な病因は不明です。
◆増大傾向を示すもの(2cm以上)や、がんの合併が疑われる場合や組織検査の結果によっては内視鏡を用いて切除することが多くなっています。
大腸ポリープの種類
大きく腫瘍性、非腫瘍性に分けられます。
非腫瘍性の中には、過誤腫性、炎症性、過形成性ポリープがあります。
腫瘍性は良性は腺腫、悪性はがんです。
最も頻度の多いのが腺腫で、次が過形成性ポリープです。
腺腫ががんになる可能性
以前は、「腺腫はすべて前がん状態である」、つまり、がんになる一歩手前の状態であると考えられていました。しかし現在では、がんになるのは腺腫のほんの一部であることがわかってきました。
腺腫の大きさが重要です。腺腫の直径が1cmを超えた場合、急激にがんを含む可能性が高くなることが示されています。これは、日本に限らず、世界中の調査でも同じ現象が認められています 。
腺腫は、ある期間同じ大きさにとどまり、ある時期から大きくなり始め、またその大きさにとどまるというように段階的に増大していき、一直線に大きくなることはないようです。
その理由はよくわかっていませんが、遺伝子の変異とも関係しているのではないかと考えられています。
遺伝子が傷ついて変異を起こすにつれて、正常の組織から腺腫、さらにがんへと進展していくと考えられています。
摘出が必要なポリープとは?
以前は、腺腫は前がん病変であるとみなし、全ての腺腫が発見され次第、摘出されていました。しかし、現在では腺腫でも、がん化の危険度の高いものにしぼって選択的に摘出するという考えに変わってきています。
日本では5mm以上の大きさのポリープが摘出の対象とされています。5mm未満のポリープは経過観察でよいと考えられていますが、科学的な根拠はありません。
しかし平坦型で陥凹のあるものや、形がいびつであるなど特殊なタイプのものは、5mm未満でも発見され次第、摘出されます。
一方で、発見したポリープは全て摘除するという考え方もあります。